136 セーヌの河岸より

今日は、パリの街中にノート パソコンを持って出て、文章を書いてみることにしました。
やって来たのはセーヌの河岸、サン ルイ島の西の端にある石畳のスロープ(斜面)です。
静かに考え事をしたり、ぼんやりと時間を過ごすのには、本当に良いところ。

ここに来る前に、サン ルイ島の仲通りにある小さな食料品店で、冷えたペリエを1本買いました。
そして今、それを飲みながら、この文章を書いています(ペリエを開ける時のブシュという小さな音や、飲み口に耳を近づけた時に聞こえる、炭酸の泡が弾ける小さな音を想像してください…)。

今日のお天気は曇り。
でも、時折り雲の間から太陽が顔を覗かせて、春らしい日差しを届けてくれます。

また、今日の風は東風。セーヌの流れに沿うように静かに吹く風です。
そしてその風が、対岸の大きな柳の木をサワサワと揺らしています。

その向こうに見えるのはノートルダム寺院。
ここからは、ノートルダム寺院を後ろから見ることになります。
高い塔が2本並んだ正面からの風景はご存知の方も多いと思いますが、後から見るノートルダムもなかなか良いものです。
複雑な柱や梁の構造が、とても美しく見えるからです。

そして、セーヌの川面に目を移すと、そこにはカルガモ親子が。
お母さんガモにくっついて、小さな小さな子ガモたちがプカプカと浮いています。
また、そのお母さんガモや子ガモたちを守るように、お父さんガモが一緒について泳ぎます。
そして、河の中ほどを通る貨物船や遊覧船からの波を受けては、さらにユラユラ、プカプカと彼らの小さな体は上下します。

その先で、河に入ったり出たりしているのは、大きなゴールデン レトリーバー。
飼い主が川面に向かって放り投げたテニス ボールを取りに水の中へと飛び込んでは、それを咥えて戻って来ます。
先程から、何度も何度もそれを繰り返しているのです。
そして、水から上がる度に、僕のすぐ脇でブルブルと大きく身震いし、体についた水滴を盛大に飛ばしています。

川面を静かに渡る風…。
小さな音を立てて打ち寄せる波…。
鳴り響くノートルダム寺院の鐘の音…。
今、世界のどこにいてもおかしくないけれど、ここ、パリにいる自分を少しだけ不思議に思いながら、この美しく、そして平和な風景を眺めています。

夕暮れが近づいてきました。
西へと傾き始めた太陽が、セーヌの川面をキラキラと輝かせています。
もうすぐ夕ご飯の時間なので、アパートに帰りますね。
皆さまも、どうぞ良い週末を。