045 南仏、各駅停車の旅

南仏アヴィニヨン(Avignon)からローカル線の各駅停車に乗った時のこと。
列車は2両編成で、お客さんは私達を含めてもほんの数人…。
発車前の運転台から顔を出していた運転手さんに行きたい駅名を伝えたら…

「ああ、この列車で間違いないよ」

…とのお返事。

ほどなく発車の時刻になって列車は走り始めたのですが、目的地までの間にいくつの駅があるのかを私達は知らないのです。
さらに、田舎町の小さな駅では、ホームに駅名が見当たらない(!)ところもあり、今どこを走っているのか、また、どこで降りたら良いのかも、さっぱり分かりません。

しかし、運転台から客室へと通ずるドアを開けたままにしていた運転手さん、列車が駅に停車するたびに私達が不安そうな顔をしていたのを気遣って、目的の駅まではあと3つであることを教えてくださいました。

また、降りるべき駅が近づいた時には…

「ほら、あそこに駅が見えてきたよ」

…と、前方を指さして私達に降車を促してくださったのです(降りる時、運転台を覗き込み、ありがとう!と言いました)。

ほんの僅かな停車時間の後、列車は私達を小さな無人駅のホームに残し、静かに発車して行きました。
そして、真夏の強い日差しの中で徐々に小さくなり、やがて見えなくなりました。